2019年3月に、日本RV協会が実施したアンケート「キャンピングカー購入・ニューモデルへ期待すること」の調査結果が発表されました。
バッテリーの性能向上とソーラーシステム充電への期待が合わせて7割近くに上り、電力装備へのユーザーの関心の高さが印象的な内容となっています。
今回は、2019年のキャンピングカーの気になる動向を、「ジャパンキャンピングカーショー2019」や自動車メーカーのプレスリリースからピックアップ。新しい動きを待ち望んでいる方も暇つぶしの方も、人気ニューモデルをベースにした軽キャンパー、電源回りの最新プロダクトの登場などに要注目です。
2018年後半から2019年前半にかけてのキャンピングカー界隈の事情
彗星のごとく現れたホンダN-VANをベースとしたキャンピングカーが注目!
画像引用:whitehouse.co.jp
2018年7月の発売以来、大ヒットを続けるホンダの軽商用車 N-VAN。
ジャパンキャンピングカーショー2019でも、N-VANベースの軽キャンパーが花ざかりといった印象です。
中でも、ホワイトハウスがホンダアクセスとのコラボして手がける、「N-VAN コンポ」のポップアップルーフモデルは、遊び心あふれるデザインで注目の的。サイドオーニングに、オリジナルプライバシーテントを取り付ければ、「オトナの秘密基地」の完成です。
Stage21が発表した「リゾートデュオ バス キング N-VAN」は、ソーラー充電システムによるオフグリッドキャンパー。AC充電に頼らないキャンピングを可能にし、省電力クーラー、冷凍冷蔵庫、電子レンジ、15インチモニターなど、都会的なグランピング設備を標準装備しています。
香川県のビルダー 岡モータースの「ミニチュア シマウザー」は、“何でも仕舞える” 収納性にフォーカスしたユニークなキャンパー。N-VANの商用車としてのコンセプトを、ストレートに反映させています。
全長1.8mの独自のハイポジションベッドで、マウンテンバイク2台も余裕で積載。ギアを目いっぱい積み込んでキャンプに出かけたい、アクティブなアウトドア派にとって魅力のモデルです。
N-VANベースの軽キャンパーは、手頃な値段とキャッチーなデザインから、若者を中心に人気が広がっていくことが予想されますね。
キャンパーの電源の悩みを一掃?欧州で発表された日産エナジーローム
画像引用:uk.nissannews.com
2019年のはじめに日産が欧州で発表したのが、日産エナジーロームという耐候性ポータブルバッテリー。
初代日産リーフのリチウムイオンバッテリーを再生利用した製品で、小型クーラーボックスほどの大きさながら、700Whの蓄電容量と1kWの出力を誇ります。キャンピングカーから取り外して、家庭用コンセントからの充電も可能で、USBソケットも備えています。
高い静音性と防水性能で、アウトドアやレジャーでの利用も見込まれる日産エナジーロームは、2019年の後半にヨーロッパ市場で発売される予定です。
日本仕様のエナジーロームが発売されれば、国産キャンピングカーの電源設計に大きな変化をもたらすかもしれません。
英国OPUS社のキャンピングトレーラー「AIR OPUS」とコラボした、Nissan x OPUSキャンパーコンセプトも発表されています。400Wソーラーパネルを搭載したキャンパーで、1週間のオフグリッドキャンプ旅行を提案。
90秒で膨張するトレーラーのエアテントの中には、ダブルベッド、電子レンジ、2バーナーガスコンロ、冷蔵庫、オーディオ、WiFiを完備。2.5mという天井高と広い室内は、キャブコンより快適なスペースに見えます。
AIR OPUSは、乾燥重量が700kgとなっており、日本で普通免許でけん引可能な仕様。イギリスでの販売価格は、約276万円とリーズナブルなので、日本に正規輸入されると人気になるかも。気になる方は、こちらの公式ページをチェックしてみてください。
発表から1年、バンテック製デュカトキャンパーの発売はどうなる?
画像引用:vantech.co.jp
2018年のジャパンキャンピングカーショーで、長蛇の列となった注目のプロトタイプモデル、バンテック「V670」。
欧州のキャンピングカーの7割を占める、フィアット・デュカトをベースにした国産初のキャブコンでした。バンテックの新しいフラグシップモデルとして、販売を待ち望んでいた方も少なくないはず。
国産キャブコンと一線を画すスタイリッシュな外観と、常設ダブルベッド、エアコン、シャワー、冷蔵庫を装備したラグジュアリーなインテリア。販売価格は税別1400万円〜とアナウンスされ、2018年の春から夏に受注開始予定とされていました。
その後現在まで、バンテックからV670の販売についての情報は聞こえてきません。デュカトの日本仕様は消滅したのか?といった声も。
デュカトの正規輸入に際しては、日本の排ガス検査のクリアがネックになっているという説があります。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、2017年1月に、違法なソフトウエアを使って排ガス試験をクリアしていたとの米環境保護局の指摘のもと、米司法省による調査対象となっていました。
FCAは2019年1月10日、米国での排ガス不正に関連して、制裁金や賠償金など計8億ドルを支払うことで、当局と和解したと発表しています。
これをもって、FCA自身は否定する排ガス不正問題への司法省の調査が完了したわけではありません。ただこの問題が、フィアット・デュカトの日本の正規輸入に影響を与えていたとしたら、米国での和解が事態を好転させる材料になる可能性も。2019年内に、バンテックV670についての新しいニュースが登場するかもしれません。
ハイエースの新型モデルが発表されてバンコンモデルが一新か?
画像引用:motor-fan.jp
2019年2月18日、トヨタがフィリピンで新型ハイエースを発表しました。
現行ハイエース200系の次期モデル、300系の登場か!と自動車メディアは一斉に注目。ただしプレスリリースの冒頭には、国内向けモデルではなく、海外向けの新シリーズと記載されています。
セミボンネットのフォルムが特徴の新型ハイエースは、「ショート・標準ルーフ」「ロング・ハイルーフ」の2つのボディタイプで構成。
ロングハイルーフは、全長5915mm × 全幅1950mm × 全高2280mm、ホイールベースが3860mmというラージサイズ。前述のバンテックV670の8〜9割といった大きさで、キャブコンのベース車両として一般的なトヨタ・カムロードのホイールベース2545mmをはるかに上回ります。
新型ハイエースのロングハイルーフをベースとしたキャンピングカーができれば、国産バンコン・キャブコンモデルが一新されるかもしれません。
新型ハイエースは、2020年にかけて新興国を中心に順次投入される予定です。今回日本語版プレスリリースが出されていることから、国内では現行200系は従来どおり販売され、ロングハイルーフが300系として新規投入されるのでは、といった期待も捨てきれません。
大人気の新型ジムニーのキャンピングカーは難しい?
画像引用:toy-factory.jp
2018年7月に、20年ぶりにフルモデルチェンジした新型スズキジムニー。
長い納車待ちや、2019ワールドカーデザインオブザイヤーの最終選考3車種に、日本車として唯一ノミネートされたのも話題になっています。オフロードの安定走行に加え、高速道路での加速も非常にスムーズにアップデートされています。
新型ジムニーでの車中泊のために、トイファクトリーが出した結論は、オリジナルベッドキット。『101 TentCar コンフォートフルフラットベッドキット』は、ユーザー自身がジムニーに取り付けるベッドです。
フルサイズベットは、1840mm×1290mmの大きさで、大人2人がゆったりと横になれる広さ。1人用のハーフサイズベッドも用意されており、それぞれ税別で98,000円と50,000円で購入できます。
島根県のビルダー・スマイルファクトリーは、キャンピングカー仕様のジムニー「オフタイム CROSS ROAD」を発表。ジムニーXCをベースとして、ベッド下の空間に容量30リットルの冷蔵庫を設置しています。
ジムニーの2250mmというホイールベースを、カスタマイズするのは難しいという印象。ポップアップリーフに定評のあるトイファクトリーが、ベッドキットという選択をしたことにも、キャンパー仕様実現のの困難さがうかがえます。
ジムニーというオフロード車に特有の、耐衝撃性と剛性を実現するのも、ビルダーにとってハードルが高そうです。
まとめ
2019年は、ホンダN-VANを中心とした軽キャンパーが人気を集めることでしょう。
日産やパナソニックからの、キャンピングカーに向けた新しい電源ソリューションの提案も楽しみです。
バンテック製デュカトキャブコンの新しいニュース、新型ハイエースの国内デビュー、新型ジムニーの画期的なキャンパーの登場など、2020年のオリンピックイヤーに向けて、様々な期待が膨らみますね!